2020.7.13 |
シリーズ:金沢R的まちなか再定義 第1回 ど真ん中にこそ、緑。柳田和佳奈(有限会社E.N.N.) 「まちなか」と言うけれど、金沢における「まちなか」ってどんなだろう。コロナをひとつのきっかけに、職場も住まいも金沢城公園から2km圏内のスタッフ達が「まちなかで暮らすということ」の気づきを生活者目線で記していきます。第1回は街で感じる「自然」のお話。 「まちなか暮らし」と聞くと、人工物ばかりで自然からは程遠そう。また、金沢という街のイメージも “自然”や“緑”といったキーワードとはすぐには紐付かないかもしれません。(実際、車で移動している分にはあまり緑は感じられない) ヒューマンスケールな緑 金沢のまちなかにある緑は、いわゆる“手付かずの大自然”とも、線対称的に整備された “パブリックな緑”とも違う、揺らぎや陰りがある“ヒューマンスケールな緑”とでも言うのでしょうか…。どちらかというと、人の手で整えられ様々な見立てが詰め込まれた「お庭」を歩いている感覚に近い気がします。 歩く人に開かれる、緑のフリーゾーン 私がこの“緑の恩恵”を改めて感じたのは、コロナの感染拡大第1波のときでした。金沢の街中から30分もあれば海や山にも行けるので、これまでは自然を求めて親子で週末でかけることも多かったのですが、当時は緊急事態宣言発令中。遠出は御法度です。近所を深掘りするしかなく、登園自粛中の娘とステイホームで煮詰まった夕方など、少しだけ散歩にでかけることがありました。 そんなとき、「公園」や「広場」といったスポットだけでなく、 “緑の回廊”とでも呼べそうな、植物を感じながら気持ちよく歩けるアフォーダンスがあることに気付きました。しかも、観光客のいない金沢の街では、ほとんど人にも会わずにそれらを回遊でき(ルーティーン散歩をする諸先輩方とはたまにすれ違う)、もちろん入場料なども取られないパブリックスペースばかり。 まちなかに57ヘクタールの緑地空間 ここで金沢の中心部(香林坊・広坂界隈)を引きで見てみましょう。下の航空写真から、2本の川に挟まれて、緑の一帯が面や線状に広がっているのが分かります ここには、金沢城公園、兼六園、玉泉院丸庭園、本多の森公園、金沢21世紀美術館敷地、など緑地を多く有する公園や施設が集まっています。緑地空間として換算すると57ヘクタールにも及び、地方都市としてはかなりの規模です。(元市長・山出保さんも「こんな緑地が中心にあるまちは他所にはないと自負しています」と話されています。『新建築』2020年3月号より) まちをつくってきた先輩達のセンス 思索に耽られそうな“ひっそりとした緑”もあれば、バーンと抜け感ある“広大な緑” 、文字通り庭として人の手が入る“趣ある緑”や、歴史の逸話とリンクした“ストーリーある緑”etc.。そのバリエーションや緩急が絶妙で、季節ごとにまた違う表情を見せてくれるので飽きることがありません。 “大きな庭付き”のまちなか暮らし 金沢での“まちなか暮らし”は、「大きな庭付き」のような贅沢があると思っています。特に、子どもが生まれて外で過ごす時間が増えてからはしみじみと。 住めばこそ、の緑の恩恵 これらは街で暮らしているからこそ、言い換えれば、車でアクセスしなくても良いからこそ享受できるメリットだと思います。いちいちコインパーキングに車を停めたり(さらに、ちょうどいい距離になかったり)、時間が細切れにされないのもいい。ふらっと着の身着のまま散歩に出て、鳥の声を耳にしながら地続きの時間をてくてく歩く充足感。近くのお店で美味しいごはんをテイクアウトしたりもたのしいです。ど真ん中にこそ、緑あり、です。 |
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