不動産・設計とも異なる視点で建物リサーチをする試み。ダンサーのなかむらくるみさんに、古ビル「里見町APARTMENT」を調査してもらいました。サイズ感や質感など、空間を見る・使う際のヒントにしていただけたらうれしいです。
建物のご相談を受けたとき、私たちはまず調査からはじめます。
建物の床面積は何㎡なのか、築何年なのか、などの定量的な基本情報はもちろん、周辺のお店や、まちの雰囲気、行き来する人などのあらゆるものを観察し、定性的な情報も集めていきます。
そこでつかんだ魅力を、言葉や写真をつかってコラムで表現する、あるいはそれを最大限に活かすことができる活用方法を考えていくいくのが私たちの仕事です。
さらに昨年からは「古ビル調査室」「木たて調査室」がスタートし、その”調査”を見つめ直す機会も増えてきました。
そんなお話を、私たち金沢R不動産も協賛している「ソコニダンス」主宰のダンサー・なかむらくるみさんとしていたところ、「ダンサーも表現の場所を与えられたとき、まず『リサーチワーク』という工程を踏むことがありますよ」とのこと。
これはぜひ実際の建物をリサーチしてもらいたい!とお願いし、今回の試みが実現しました。
◆なかむらくるみさんインタビューはこちら
リミットが可能性になる。/ダンスアーティスト・なかむらくるみさん
今回調査対象とした建物は、里見町APARTMENT 。
下見日・調査日当時は、活用に向けて内装解体工事中でした。
下見中、電気スイッチや壁の前でおもむろに立ち止まるくるみさん。
「かつてこの空間にいた人が、このスイッチをどう押していたのか、どんな速さで、どんな気分でこの廊下を歩いていたのかとか、考えますね」
内装をとりはらったスケルトン状態ということもあり、ただ見つめているだけではなかなかとらえどころがない空間。そこにくるみさんが立つと、それだけでぐっとイメージが湧くような、そんな感覚がありました。また、かつてこの空間にいた人の気分や行動を、私たちよりもずっと細かに想像し感じとろうとする視点が新鮮でした。
そして調査の日。
「里見町APARTMENT」の3つの区画で調査を実施しました。
303号室4階部分にて。 303号室4階部分にて。くるみさんが動くと放たれる「ザッザッ」という音が、空間で反響します。 301号室バルコニーにて。 調査を終えて、くるみさんに感想を聞きました。
「下見で訪れたときのざっくりしたイメージから、リサーチを進める中で、徐々に(建物が)自分ごとになってくる感じがありましたね。この場所やこのパーツが好きだなとか、自分の好みが明らかになってくるというか。内見される方にも、できれば建物に触れてみてほしいですね。手から体に伝わってくるものがあるので」
空間に人が立っている。あるいは動いている。
当たり前のことですが、私たち不動産屋が扱う物件=これから使い手を待つ建物においては、意外と見られない光景でもあります。
今回のリサーチを通して、くるみさんの感性や着眼点に刺激を受けると同時に、空間に”人がいる”ことで、それを見ている人の中に生まれるトーンやイメージがあることに気づきました。みなさんにも、この感覚をぜひ味わっていただけたらと思います。
そして、ここにこの家具をおいてみようか、ここに座って作業したいな、など、想像をさらに広げてみてください。実際に「里見町アパートメント」を内見されると、答え合わせのようでさらにおもしろいかもしれません。
対象物件:里見町APARTMENT
調査日 :2021年7月16日
調査者 :なかむらくるみ(ソコニダンス)/身長165.5cm
調査方法:身体表現
00:18〜01:50/401号室(27.05㎡)+廊下
01:51〜02:46/303号室(メゾネット4階部分:71.18㎡)
02:47〜04:11/301号室(27.05㎡)+バルコニー
3階間取り図 4階間取り図 ◆「里見町APARTMENT」詳細はこちらから
まちなかのニュー雑居ビル
◆「里見町APARTMENT」内見会
日時:10月23日(土)11:00〜16:00
場所:金沢市里見町42-9
予約不要・入場無料
※具体的に入居をご相談されたいという方はご予約をおすすめいたします。
以下ページ末尾のお問い合わせから、ご希望のお時間を明記の上、お申し込みください。
まちなかのニュー雑居ビル