折り紙屋根に魅せられて

昔誰かが言ったか言わないか、屋根によって建物の印象は大きく変わると。そんな言葉がふと頭の中を過ぎった今回の建物。

その建物がある場所は金沢市鈴見台。市街地から車で15分、卯辰山のふもとに広がる住宅地の中、車を走らせていると思わず目を引く外観が。それはまるで折り紙を折って被せたような屋根が印象的な一軒家が現れます。南側壁面は全面窓と大胆な設計ですが、建物を覆うように敷地の半分以上が植栽など緑に囲まれている為、前面道路から室内は見えづらくなっております。

玄関から室内に足を踏み入れると、目の前には光に満たされた空間が広がります。ダイナミックな外観とは対照的に、室内には木のあたたかさとリズムよく配置された窓から差し込む光が相まって、柔らかな雰囲気を纏い、ここが住宅地の中にある一軒家と忘れるほど。

間取りはシンプル、1階は20帖のLDK、8帖の洋室とトイレと浴室。
2階は8帖の洋室とトイレと15帖ほどのホール・納戸の木造2階建て。
リビング・ダイニングには吹き抜け、壁は斜めにパースが効いている空間だからか、その面積以上の大きさを感じさせられます。

1階の洋室には手洗器と脱衣所に向かう扉が配置されており、あまり馴染みのないレイアウトとなっています。以前入居されていた方が車椅子での生活をする為に設計されたレイアウトとなっており、その為1階の床には段差が無く手摺が生活導線の中に組込まれているなど、この建物はデザインだけではなく車椅子での生活も計算された設計となっております。

2階に上がると15帖ほどのホール・納戸が現れますが、ここはあえて目的を明確にしないフリースペースとしての活用をオススメします。書斎やワークスペース、将来の子供部屋を想定して、まずは場を選ばないフレキシブルな使い方もアリかと思います。

奥の洋室の窓からは天気がいい日には遠くの白山を望めることができます。建物の独特な三角形の構造もあって斜線部分の天井が壁になるという、あまり体感したことない感性を刺激される空間も味わえることができます。

四角い土地に四角い家、一般的な住宅の概念とは違うこの住宅。
ユニークなだけではなく住み心地も考えられたこの家で新たな過ごし方やお気に入りの居場所を探してみては如何でしょうか？