週2.5日勤務。「兼業主夫」の生活
金沢にUターンして来た「兼業主夫」の所信表明・前半。
はじめまして。鴨といいます。
ぼくら家族は3年前、15年過ごした東京から故郷にUターンし、いま金沢に住んでいます。
家族は8歳の息子、4歳と2歳の娘、妻の5人。
3年前、妻のお腹に3人目を宿したことが、Uターンを決断する決め手になった。 「兼業主夫」の生活
Uターンを機に、それまでの仕事人間から脱却し、育児と家事を主にした生活をしています。
仕事は地方公務員をしていますが、育児制度を使って、週の2.5日しか働かない生活をしています。
勤務は月曜日と火曜日と水曜日の午前。あとの日は休みで育児と家事に勤しむ。
兼業主夫といったところです。
もちろん、収入は週5日勤務に比べて半分以下になります。
家族5人を支えなくてはならない大黒柱としては失格。
役所でも男性がこの制度を長期で使おうなんて輩は初めてだそうで、珍しがられてます。
出世コースからも外れるんじゃないか、みたいな恐れもあるそうです。なんだかな。
東京では家事は全部は妻任せだった。現在はキッチンにいないと落ち着かない。 © Ookura Hideki / Kurome Photo Studio 「時間持ち」になってみる
それでも、なぜそんな生活を選んだか。
そもそも、Uターンをするか否かを、当時むちゃくちゃ悩んだからです。
働き盛りといわれる30代半ば。楽しい都会を離れることは、たくさんのことを失うことでもあります。
築いたキャリア、人間関係、もちろん収入も。どれも少なからずの努力をして手に入れたもの。
捨てる決断をするにはずいぶん勇気が入りました。
最後は「子どもたちにはそのほうがいいかも」という漠然とした直感だけを頼った、ギリギリの選択でした。
どこに連れていっても遊び出す。そんな童心を大事にしてあげたい。 何かを捨てたら何かを手にしたくなる。
そこで思いついたのが、「時間持ち」になることでした。
時間なら、自分の決断と妻の理解があればすぐに得られます。
時は金なりというのなら、それだって贅沢なことといえるかもしれない。
そして、人生の先輩方の多くは「子どもはすぐに大きくなって、遊んでくれなくなる」といいます。
当たり前ですが、その時間は後から巻き戻せない。お金でも買えない。
「今のうち、できるだけ子どもたちと遊ぼう」そう決めました。
子どもたちのためというより、むしろそれは自分のためです。
「収入が減ったのではない。時間を買ったんだ」そう思えば、安いものです。
Uターンした者のハンデ
子どもが目をつけるのは、たいてい何気ない余白のような場所。 地方から都会に出たことのある人の多くは、地方の窮屈さがいやになったことが動機だったりするのではないでしょうか。
もっと広い世界を見たくなる。
一度は故郷をどこかで「キライ」になっています。ぼくもその一人でした。
戻ってきた以上、ヨリを戻すというか、故郷のいいところを改めて見出して、再び「スキ」にならなくてはいけないわけです。
外に出ていない人やIターンする人よりハンデがあると言えなくもない。
いいところ。しかも都会にはないもの。それは何なのか。
ヒントになったのは、子どもたちがこっちの生活で向ける、日常への眼差しでした。