2010.8.16 |
Rトピックス 気になるあの空き家をお店に。~後編~松本ゆうみ(金沢R不動産/E.N.N.) 賃貸物件ではなかった空家を動かし、ショップを始める2人のお話。その後編です。 あの空き家にいよいよかけられた工事用のブルーシートと垂幕。信号待ちのドライバーや通学中の学生たち、犀川沿いを散歩するご近所の方々などたくさんの人たちが「ここに何ができるんだろう」と興味深げに見ていきます。 工事は続行されましたが、2人にかかる工事費用も上がり、工期も予定よりも延びてしまうことに。業者さんの受け持つ工事が終了したのは、予定を1週間ほど過ぎた6月末でした。 まずは、天井を柱の色に合わせて塗り、次にすべての内壁に真っ白な漆喰塗料を塗っていく作業。2人ともニューヨークでギャラリーの壁を塗るアルバイトをした経験があるそうで、慣れた手つきで進めていきますが、面積が広いだけにかなり時間もかかります。それと平行して、レジを置くカウンターも手づくり。床と同じ古材を使って、ディテールまでこだわった立派なものが完成しました。 最後には、川から見える外壁面に植物の絵を。これはこの場所でお店をやることを決めたときからのプラン。そのときはすでに梅雨の終わり頃で、強い日差しと雨が交互に襲うような気候の中、2人は細かな絵柄をコツコツと描いていきました。 ようやく迎えたプレオープンの日。小さなお店に灯った柔らかく温かい光に導かれるように、たくさんの人が入っていきます。 オープン前夜に急遽お試しにお店を開けることになったにもかかわらず、新竪町商店街のショップスタッフさんやお友達、工事中からずっと気になって見ていたというご近所の方や通りすがりの方など、小さなお店はすぐにお客さんでいっぱいになりました。「おめでとう!」とお祝いの言葉をかけられる2人は本当にいい笑顔をしています。物件探しから半年、ここに来るまでの苦労がすべて吹き飛んだ瞬間だったのかもしれません。 お店の名前は「GARYO」。何語かわからない不思議な響きですが、実は伏せている竜「臥竜」からとったものだそうです。調べてみると「臥竜」には、“優れた能力を持ちながらもまだ世に知られていないもの”という意味もあります。 今からお店を始める2人も、海外でセレクトしてきた古着たちも、長年使われていなかったこの空家も、まさに臥竜。 大通り沿いでもない、商店街の中でもない、街から少し外れた犀川のほとり。人によっては、「こんな場所でお店なんて」というような立地です。そこに建っていた小さな空き家に可能性を見い出し、大事に磨き上げて、新たな光を灯したことが、街の流れを大きく変える一歩になるのかもしれません。 ■GARYO |
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